■ 能勢電60形(れーるぎゃらりー六甲 Kit)
まだNゲージをやっていた頃、この車両を作りたくなって銀座の天賞堂に資料(関西鉄道研究会の「能勢電鉄」)を買いに出かけたのですが、本の代わりに偶然覗いた委託販売コーナーでこのキットを見つけ、一も二もなく買い求めました。16番ではこんな車両まで出ているのかと驚き、16番に移行するきっかけとなった思い出のモデルです。
金属工作は初めてで、精密ヤスリなどいろいろ揃えて取り組んだのですが、今思い返せば、最初がこのキットだったのはなんとも幸運なことでした。非常に組みやすく設計されており、とにかく説明書通り何とか作り上げたのがこの61号です。
最近ふと思い立ってもう1セット買い求め、51&61のペアとしました。最初に組んだ方が61で、当時ほとんど素組みで組んだそのままですが、埋めていた方向幕を空けて初期の姿をイメージしたものとし、また51と一緒に塗装をやり直しました。51の方は末期の姿にすべく、いろいろ試みています。
51の追加加工点は以下のとおりです。
- 前面肩部分:おでこ部分はロストパーツになっていますが、肩Rの印象が少し違うような気がしてかなり削って丸みを出しています。以前に作った61の方は単純に合わせの修正をしただけですが、写真で違いがおわかりになると思います。
- ポール→Zパンタ:奄美屋のパーツに帯板でシューを追加したものです。
- 窓のアルミサッシ化:オリジナルの窓枠には小さな隅Rが付いていますが、これを削って直角とし、本体塗装後に銀色に塗って接着します。
- 屋根上の母線の追加:これは、保育社の昔のカラーブックス(日本の私鉄3「阪急」)にわずかに確認できますが、パンタグラフから反対側の運転室までランボード上を母線が通っています。0.6φ線とマッハの配管止から作成しました。また、もう一つのランボードは短縮されています。
- 方向幕:おでこの方向幕はぴったりにはまるよう凸型に削った板で埋めました。
- 前面窓上の横棒:ポール紐のためのものかアンテナか何かわかりませんが、ポール・方向幕の時代から付いている写真がありますので、末期の仕様というわけではありません。0.4φ線を銀河の割りピンで止めたものです。
- 自連:後になって付けられたもののようです。ニワのSL用パーツを使用しました。座は削って小さくしました。
- コンプレッサー:61号のDH16タイプと異なりGEタイプで、ピノチオから発売されている旧国用のAK-3に近い形態に見えますので、これを使用しました。大き目となりますが、台座を取って位置を上げることでまあまあ馴染んで見えます。
- 排障器:帯板からの自作でロストの台車枠の片方に半田付けしてあります。頼りない台車回りのバランスが多少良くなった感じがします。
- 塗色:上半分はマッハのラッカーでクリーム1号と白の調合、下半分は同青20号、屋根上はグンゼアクリルの(三菱系)明灰色、床下は同ニュートラルグレーです。一方61号の方の初期のカラー写真は残っていないようですが、説明書に上半クリーム1号・4号の中間色、下半分青15号、床下黒、と指定されていますので、その通りにしています。ただ、こちらもマッハのクリーム色そのままだとどうも濃いような気がしたので、白をかなり入れました。屋根上はニュートラルグレーとしました。写真ではあまり差を捕らえられませんでしたが、並べてみると塗色の違いからだけでもそれぞれの時代的な雰囲気を感じることができます。ちなみにこの解説書には、60と61とで客扉窓の下隅Rの有無に違いがあるなど、よほど実車に詳しい人が書いたらしい記述もあり、感心させられます。
素組みではありますが、付属のモータがあまりにもトルクがなく、かつ耳障りな音がするので、キャノンのLN-14を床板中央に(穴を開けて)置き、ユニバーサルジョイントでギアボックスとつないでいます。
架線がないとポールが見苦しいことになります。この反省から、51の方はディスプレー時を考慮して適当な上昇位置に固定できる止め具を付けました。紐もあった方が良いですね…
前照燈パーツは切り欠きにはめ込みですが、下側に余分な台座が少し出ています。切り欠きの形状を修正してツライチにするべきでしょうが、削りすぎ→パテ修正→泥沼のパターンになりそうなので中途で止めてしまいました。
室内の方には吊革と戸袋窓の4本桟を追加しました。
片側のポールを撤去した位置に何かあるようですが、写真では判然としませんでしたので、とりあえず角板を配置しました。
(61号=1998,51号=2001.4 製作, 2001.6.10記)
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